被災地方言研究文献目録
被災地方言研究文献目録は、利用上の利便性を考えて、Excel版とPDF版を作成しました。
Excel版
PDF版(Excel版を2分割してあります)
§目的
方言のこれからの記録に向けて、被災地の方言がどのように研究されてきたのかを把握することを目的として、被災地※の方言研究に関する文献・資料(書籍、論文、市町村史)の目録を作成しました。
東北大学方言研究センター編(2012)『文化庁委託事業報告書 東日本大震災において危機的な状況が危惧される方言の実態に関する予備調査研究』では、方言の記録・保存という観点から今後取り組むべき課題は何かを見出すため、目録を用いて文献・資料に関する分析を行っています。目録によって量的調査を行い、またこれらの文献・資料に目を通して、どのような分野、地域の研究がなされているのかを確認し、研究の不足している箇所について検討を行いました。
これについては東北大学方言研究センター(2012)『方言を救う、方言で救う―3.11 被災地からの提言』の第2章もご参照ください。
ここに掲載する目録は上記で扱った目録の増補改訂版です。
※青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県の津波による被害を受けた太平洋岸、及び東京電力福島第一原子力発電所事故による避難指示区域並びに計画的避難地域、特定避難勧奨地点を含む市町村
§目録の作成にあたって
目録の作成にあたって、どのように文献・資料を探したかを以下に記します。
☞ 探し方
①『20世紀方言研究の軌跡―文献総目録―』
(日本方言研究会編、2005年、国書刊行会)
だいたい明治期から2001年までの方言書目、方言論文(資料)がそれぞれ総記と地方(各県ごと)に分けて記載されている。2001年までの書籍、論文はこれをベースとした。
②『国語年鑑』1954~2009年版
(国立国語研究所編、大日本図書)
国語年鑑にはその年の刊行図書一覧、雑誌論文一覧があり、どちらともその中に「方言、民俗」という項目があるので、そこを見ると当該地域の書籍、文献があるかどうかがわかる。
①で探しきれない2002~2008年の書籍・論文はここで補った。
③ インターネット
日本語情報資料館(http://www6.ninjal.ac.jp/)やCiNii(http://ci.nii.ac.jp/)などの学術文献データベースを用いて、「方言」「仙台」「宮城」などのキーワードで検索。上述の手順で取りこぼしがあった場合これで補完した。
※ 探しきれていないもの
なお、上述の探し方では、各被災地の市町村史にある方言資料はリストアップできず、個別に確認する必要が出てきます。これまで多数確認し、目録に掲載していますが、現在でもなおすべてを確認することはできていません。
また、この探し方のどの方法でも確認・入手できていない資料も少なからずあります。①で確認したところでは存在するはずだが所在不明(掲載書誌不明)のものが一つにはあり、また、例えば2009年以降にX市Y地区の方言を集めた『Y地区のことば』という本が出版されていたとしても、③では市町村以下の地名での検索は基本的に行っていないため、リストアップされていない可能性もあります。同様に『わが町の方言』のように《地名》が入っていなければ、これもリストアップされません。
今後、さらに充実させていきたいと思いますので、もしお気づきの点がありましたら、こちらまでご連絡いただけると幸いです。